• テキストサイズ

紅く染まるまで、待って【気象系BL】

第1章 翔べない鳥


その“お願い”に声を出して返事をする事も頷く事も出来ずに
智さんに抱きつかれたまま、ただ呆然とするより他なかった





牽制、ではないかな
言うなら“懇願”に近いと思う


智さんが翔さんの事を恋愛の意味で好きなんだって事はよく分かった
だけど
返事をしてやろうにも正解がわからない



どう言えば智さんは安心するのか?


どうすれば俺の言葉を信じてくれる?



何を言っても響かない気がするのは何故だろうか





『翔くんを好きにならないで』





その言葉の真意は何処にあるのか
言葉の続きには何があるのか……










「コラ、お前達」



振り向くと、タオルで髪を拭きながら上半身裸のままの翔さんが苦笑いしながらこちらを見ていた




「翔くん!」




宝物を見つけた子供みたいに
智さんはパタパタと音を鳴らして笑顔で翔さんの元へと駆け寄った





「和也が固まってる。
お前は人との距離が近いんだ。気を付けろって言ったろ?」

「ふふ、そうだった」


コツン、とおでこを小突かれて
それでも智さんは嬉しそうに笑っていて






さっきまでのは一体なんだったんだ




…ただの深読みのし過ぎか? それとも…
/ 128ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp