第8章 兄として、物申す!
カズくんの気持ちを考慮して、夕飯の時は敢えてその話には触れずにいた
御礼を言えなかった、って言うから相葉ちゃんのメールアドレスを勝手に教えちゃったけど、いいよね?
だって二人は恋人同士なんだし♡
「明日はいよいよ試験だね。
なんか僕の方が緊張してきちゃったよ〜」
「なんで兄貴が?」
「なんで、って、なんで?
大事な弟の試験日だよ? 運命の分かれ道なんだよ⁉ 普通するでしょ!」
「合格発表の日だったらわかるけどな」
「同感です」
翔くんとカズくんの意見が妙に合致しちゃって、なんだか僕だけ蚊帳の外。
「……ご馳走さま」
ムスッとした顔でワザとらしくガチャガチャと音を立てて食器を片し始めると、翔くんがフフッと笑ったのが聞こえた
「そんな怒んなよ、な?」
「別に怒ってないし!
感覚が普通の人とズレてるのは承知してますぅ!」
昔から『変わってるね』ってよく言われてたし。
言われ過ぎるから自負してたし。
まぁ、認めざるを得なかったって方が正しいけど。
「…あぁ、そうか。だからだ。」
「え?」
「俺が全く緊張しないのは兄貴が代わりにしてくれてるからなのかな、って」
「カズくん…」
「兄貴のお陰で落ち着いて試験に臨めそうだよ」
「カズくぅ〜ん…!」
カズくんの優しいフォローに感動して思わずギュッと抱き付いたら、背中をポンポンと擦って『ありがとう兄貴。俺、頑張るね』って言ってくれた
なんて良い子なんだ!
やっぱりうちのカズくんは最高だよ
早く一緒に登校したいな
皆にいっぱい自慢しちゃうんだから!