第1章 入学式
「はーい。皆ー席につけーぃ」
ガラガラガラッとドアの開ける音をだしながらこの1-Bのクラスに入ってくる担任と思われる先生。
「えーこのクラスの担任だ」
言いながら綺麗にされた黒板に新しいチョークで担任の名前を書いていく。
それを俺ーー辻 湊人は、伏せていた顔を上げながら見る。
黒板には馬原 信時と書いてありうまはらと読むのではなく、まはら のぶときと読むらしい。
馬原先生はあだなやらなんやら適当に呼んでいいぞーということで、クラス内で決めた結果。
『まっさん』
となった。
そのまっさんにクラスの奴らは様々な質問をし、最後に定番の『何歳ですかー?』という質問で『まぁー、30歳前後ということにしておいて』というかたちで終わった。
別に俺はまっさんの年なんかどうでもいいし、まっさんの趣味やらなんやら興味なんかないが良いことを聞いた。
それは、
「まっさん野球部の顧問だってな!」
そう。
それだ。
また顔を伏せていた俺に前の席の佐々木 蓮は俺の心情を悟ったかのように言ってくる。
蓮は俺の心友というものであり、パートナーというものでもある。
まぁ小中高一緒ということもあり、世間一般に言えば『腐れ縁』だ。
「なぁ湊人聞いてるー?」
「あぁ。聞いてるよ。まっさんが顧問だろ」
「そーそー。ずっとさ顧問誰だろーなーとか思ってたんだけど…まっさんで良かったぁー」
これまでの会話から察するにわかるだろうが、そう俺達は野球部に入るつもりなんだ。