第1章 Trip
「目が覚めたら彼女が僕のベッドにいたのさ。夜はいなかったのにね〜…。いてくれればイロイロ楽しいことできたのに…♪」
「っ/////(ブンブンブンッ)」
フランスは怪しげにニコッと笑うが、彼女は全否定するかのように首を振っている。
「じゃあ何故彼女はここにいるんだ?」
「お兄さんの熱烈なファンか、はたまたストーカーちゃんかな…?」
「(ブンブンブンブンブンッ)」
首がとれそうなぐらい振っている。じゃあなぜ…?
「…家で色々片付けて………疲れたので自分のベッドでお昼寝程度に寝てました…
起きたらここにいて、目の前に…その人がいて、痛っ…」
ぽつりぽつりと語り出す彼女の声は、ハスキー…と言っても低すぎず高すぎない、聞いていてとても心地の良い声だ。
彼女が額に手をやるとヌルリとした生々しい血が指先についていた。
「あ、血……。(だから結構痛いんだ…)」
「何!?…本当にすまない。目眩はするか?吐き気は?」
ポケットからハンカチを取り出し彼女の額に当てる。余程心配しているのか、詰め寄るように近付いた。
「っ////ぃやっ!!」
ドイツを突き飛ばし、涙を溢しながら我が身を抱くように震えだした。
「ご、ごめんなさいっ…でもっ……何で、怖いっ…」
自分がしていることと感じていることの矛盾に身を震わせているのか…?
「俺が…怖いのか?」
「初対面の方に、怖いと言うのも失礼ですが…すみません、血を拭こうとしてくださったのに…どうして?
今はいきなり近くに来られて………怖かったです…」
「(今は…か)…フランス。彼女に何をした…?」
「…別に何もしてないよ♪ただ…」
「ただ…?」
「ただ彼女に目覚めのキスをしようとほっぺに触れたかな♪」
「それが原因だぁっ!!!!」
バギッ
「いったぁ!お兄さんの大事な顔が歪んじゃう!!
だって彼女目覚め悪そうだったからお兄さんのあまぁ〜いキスで『夢じゃないよ…✨』って…イタタタタタ!!」
卍固めか?
その手の技を躊躇なく浴びせるドイツ。
全裸のまま浴びせられるフランス。それを呆然と見ている彼女(丁度いい感じに見たくないモノは見えなかった)