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黒子のバスケ*Short Stories3

第18章 隣にいる理由が変わった日*黄瀬*


そろそろ9時になるかなという頃に、黄瀬くんが汗を拭いながら私のところに来てくれた。

「っち、お待たせ!帰ろっか。」

「私黄瀬くん待ってた訳じゃないって。でも丁度終わったから戸締まりするね。」

見透かされたようで恥ずかしくて、ついつい誤魔化してしまったけれど、本当は一緒に帰りたくて待ってた。

体育館の戸締まりをすると、黄瀬くんは私の手から鍵を取った。

「俺返してくるから、っち着替えておいで。」

「え…いいよ!私行ってくるよ。」

「こういう時は素直に甘えてほしいっス。じゃあ部室の前集合ね!」

駆け足で職員室へ向かう黄瀬くんの後ろ姿を見送りながら、またトクンと音を立てる胸に手を当てた。

毎日黄瀬くんへの「好き」は大きくなるばかり。

気持ちを抑えきれなくなるのが恐い。

ふぅっと息を吐いて、逸る気持ちを落ち着かせた。

部室の前で合流して、夜の静かな空気の中を二人で歩いていると、何故だか顔はいつも熱くなる。

「っちいつも最後まで付き合ってくれてありがとうっス。」

「そんな…。私も仕事あるし…最後一人ぼっちって寂しいじゃない。」

ただ私が黄瀬くんの側にいたくているだけなのに、お礼を言われてしまうと嬉しいけど胸がぎゅっと苦しくなる。

「…こんなに毎日遅かったら彼氏心配しないんスか?」
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