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黒子のバスケ*Short Stories3

第18章 隣にいる理由が変わった日*黄瀬*


突然の黄瀬くんの一言に一瞬思考が停止した。

「…へっ!?彼氏!?いないよ、そんなの!」

「そうなんスか?っちいるのかと思ってた。」

きょとんとした表情を浮かべた黄瀬くんに、恋バナになった流れで勇気を出して尋ねてみた。

「私みたいなのにいるわけないじゃん…。黄瀬くんこそ彼女作らないの?ファンの子たち可愛い子多いし。」

「今はバスケが恋人っス。…でも彼女になってほしい子がいるんスよ。」

「え…?」

黄瀬くんの口から出たその一言がショックで、頭を殴られたみたいだった。

心のどこかで恐れていたのは、いつか黄瀬くんの隣に特別な女の子がいるようになってしまうこと。

バスケに夢中な今はその確率が低いだろうと勝手に思っていた。

混乱する気持ちを見せないように、言葉を返して踏み込んでみた。

「…どんな子か聞いてもいい?」

すると黄瀬くんは前を向いたまま、答えた。

「…今俺の隣にいる子っスよ。」

その言葉を聞いた瞬間、一気に涙が溢れた。

今まで溜め込んだ想いが溢れていくように。

「…今黄瀬くんの隣にいるの、私だよ?」

「そうっスよ。…っちのことが好きだから、彼女になってほしいっス。」

一方通行だと決めつけていた想いが繋がって、嬉しくて嬉しくて涙が止まらない。

黄瀬くんは私の涙を長い指でそっと拭って、優しく微笑んでくれた。

「…っちの答えは?」

ひっそりと隠していた想いを、彼に伝える時が来るなんて。

「私も黄瀬くんがずっと好きだった…。」

精一杯自分の気持ちを乗せた声で想いを告げれば、黄瀬くんの顔は真っ赤になって今まで見たことのない顔をしていた。

すると黄瀬くんの腕が伸びて、私の体を抱き寄せた。

抱き締められたことに戸惑いを感じて、黄瀬くんの方を見上げようとしても頭を胸に押し当てられて動かせない。

「今俺の顔見ないでほしいっス…。」

彼の胸から私の耳に伝わるのは速く刻まれる心臓の音。

あぁ、彼も私と同じ気持ちだったんだ。

マネージャーとして隣にいられるだけでも十分幸せだった。

彼女として隣にいられるなんて、どれほど幸せになるんだろう。

「…黄瀬くん、私幸せすぎて死んじゃうかも。」

「…!っち、そういう可愛いことさらっと言わないで!心臓がもたないっス…。」
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