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黒子のバスケ*Short Stories3

第16章 大切な君に世界一幸せな未来を*緑間*


家族団らんの時間も終わりを告げて、皆が寝静まって静けさが広がる家の中。

明日のことを考えると緊張からか何となく寝付けなかった。

とりあえず何か飲もうと台所に行き、ココアを入れてソファーに座った。

すると聞き慣れた足音が聞こえてきて、リビングの扉が開いた。

「?お前何してんだよ、こんな時間に。」

「なんか眠れなくて…。大輝も?」

「あぁ。何でかわかんねぇんだけどな。」

大輝は冷蔵庫からお茶を取り出してグラスに注いで、私の隣に腰かけた。

「さてはあれじゃね?緑間との結婚今さら後悔してるんじゃねぇの?」

「そんな訳ないでしょ!真ちゃんと結婚できるなんて夢みたいだもん。」

「そうだろうな…。お前中学の時からずっと好きだったもんな。あいつ追い掛けて秀徳行ったのにはビビったわ。 」

「私もまさか受かると思わなかったよ。…それだけ必死だったのかな。」

私の10年間の恋を一番近くで見守ってくれたのは、紛れもなく大輝。

感情があまり表れない真ちゃんの気持ちがわからなくて、何度も大輝に相談した。

大輝は眉を寄せて面倒臭そうな顔しても、結局私の話を最後まで聞いてくれた。

家族だからか大輝の言葉には容赦はなかったけれど、そのアドバイスは的確で私の考えていることは全て見透かされていた。

大輝がいなかったら、私の今はなかったのかもしれない。

「私、大輝と双子で良かった。」

「何だよ、いきなり。」

「こういう時くらいしか言う機会ないなと思って。」

「アホか。これからも変わんねぇだろ。…緑間に浮気でもされたら慰めてやるわ。」

「真ちゃんが浮気なんかするか!…私そろそろ寝るわ。」

最後まで続くたちの悪い冗談に呆れて、カップを片してリビングを出ようとした時。

「。」

振り返れば大輝がぽんと私の頭を撫でて、久しぶりに優しい表情を見せてくれた。

「世界一幸せになれよ。」
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