第14章 「ありがとう」の代わりに*高尾*
映画を観終わって、時間も時間だし一緒に夜ご飯を食べることになった。
ファミレスに入って、それぞれ好きなものを食べながら映画の話に花を咲かせる。
「めっちゃ面白かったな!」
「うん!あのシーン本当笑えた!」
ゲラゲラ笑う彼を見ていると、私までつられて笑ってしまう。
このままずっと隣にいられたら、いつも笑顔でいられるのに。
そんなことを考えながらメニューを眺めていると、ついついデザートに釘付けになった。
「何?なんかデザート食うの?」
彼は私の視線に気付いて、メニューを覗き込んできた。
「パフェとか美味しそうだなと思って…。でも結構大きいから、違うのにしよっかな…。」
メニューを指差すと、彼は少し考えて一つ提案してくれた。
「俺半分食うから、好きなやつ頼もうぜ。」
「え?いいの?」
素敵な提案に顔を上げると、彼はまたにっと笑顔を向けてくれた。
「今日はにお礼する日だからな。もちろんご馳走する!」
「じゃあ一番高いやつで!」
「おい!」
二人で食べた一つのパフェは、いつもよりも甘い味がした。