第9章 その出会いは必然か偶然/黄瀬*青峰
体育館の中では、秀徳高校の部員たちが既にアップを始めていた。
それぞれの高校が挨拶をし、監督たちが今日のメニューについて相談している間、部員たちは各々準備に入った。
すると体育館の重い扉が低い音を出しながら開かれた。
その音に気付いた部員たちは扉の方に視線を移した。
「あぁぁぁ!!」
「…はぁっ!?」
オレンジ色のジャージに身を包んだマネージャーらしき女の子の姿を見て声を上げたのは黄瀬と青峰だった。
二人は彼女のところへ我先にと向かい、彼女の目の前は大きな彼らに遮られた。
「え!っち何でここにいるの!?」
「…お前、秀徳のマネージャーだったのかよ。」
驚きの色を隠せない二人に、はまたあの愛らしい笑顔を贈った。
「黄瀬さん、青峰さんお久しぶりです!今日お二人にまた会えると思って楽しみにしてたんです。」
「てか、青峰っちっちのこと何で知ってるんスか!」
「こいつの定期入れ拾った。…お前って言うのか。」
その時、黄瀬は察知した。
人に興味を持たない青峰がの名前に反応した。
「…ここでもライバルっスか。」
密かに溢した一人言を青峰は聞き逃さなかった。
「お前が俺に勝てるわけねぇだろ。」
火花を散らす二人を眺めて、高尾は声を上げて笑う。
「ブフォ!あの二人ちゃんにマジで惚れてるじゃん!すげぇわ!」
「ふん…。はうちの大事なマネージャーなのだよ。俺が認められないやつに、あいつはやらん。」
「真ちゃん、お父さんかよ!」
彼らにとってあの日は運命という必然か、それともただ日常の中の偶然か。
彼女の心を射止めるのはどちら?