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黒子のバスケ*Short Stories3

第8章 甘いあなたの味*黒子*


テツくんに元気を出してもらいたくて、帰りにマジバに寄ったけれど、賑やかなその空気は何となく今の気持ちに合わなくて。

テツくんが頼んだバニラシェイクと、私が頼んだアップルパイをテイクアウトして、飲みながら帰ることにした。

「テツくん、シェイク寒くない?」

「手袋してるので、手は冷たくないですよ?少し寒いですけど、やっぱり好きなんです。」

ストローでちびちびとシェイクを飲むテツくんは何だか可愛い。

その様子が微笑ましくてちらちら視線を移していると、私はテツくんの口許に注目している自分に気付いた。

…私、こんな時まで無意識に見ちゃうなんて。

自己嫌悪に陥っていると、視線に気付いたテツくんが首を傾げて私を見つめていた。

「…飲みたいんですか?」

「あっ…!う、うん!頂きます…。」

邪な気持ちに気付かれたくなくて、思わずシェイクを頂いた。

…あ、間接キス。

嬉しいんだけどね。

「違う…。」

「何が違うんですか?」

しまった!

無意識に心の声が口から溢れてしまった。

慌ててごまかして、その場を取り繕うとした。

「えっ!?私何も言ってないよ?」

「…どうして僕には何も言ってくれないんですか?」

急に腕を掴まれて引き寄せられ、その拍子でテツくんに抱き留められた。

腕が私の腰に回り、テツくんの暖かさを感じる。

どうしよう。

私抱き締められてる。

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