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黒子のバスケ*Short Stories3

第8章 甘いあなたの味*黒子*


戻ってきたテツくんは荒い呼吸を整えながら、その場で立ち尽くしていた。

「テツくん、お疲れ様。」

タオルとスポドリを手渡すと、テツくんのありがとうが聞こえてきた。

だけど、その表情はどこか固くてぎこちない笑顔。

私が好きな柔らかで暖かい笑顔じゃない。

「どうかした?具合悪くなっちゃった?」

「…いえ、何でもありませんよ。」

ふるふると首を横に振ると、テツくんは練習へと戻っていった。

絶対何か隠してる。

いつもと違うことくらい私にだってわかる。

どうして私に話してくれないんだろう。

頼ってくれればいいのにな…。

もやもやと思い悩んでいるうちに部活は終わって、先輩たちが一人また一人と体育館から出ていく。

テツくんが何だかそれに紛れて消えてしまいそうで、思わず呼び止めた。

「テツくん!」

私の声にテツくんは足を止めて振り向いた。

「…はい。」

「今日一緒に帰るよね?」

「…?勿論です。昇降口で待ってますね。」
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