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黒子のバスケ*Short Stories3

第7章 新しい時間*伊月*


距離が近付くのはやっぱり嬉しくて、ちょこんと俊くんの隣に腰掛けた。

すると、隣から腕が伸びてきてぎゅっと体を抱き寄せられた。

私も背中に腕を回すと、もっと距離は縮まって俊くんの温もりに安心感を覚えた。

「…私俊くんにぎゅってされると、すごく安心する。」

「俺も抱き締めるの好きだよ。」

俊くんは片腕をほどいて私の頭をぽんぽんと撫でて、腕の力を緩めた。

「…前はさ、お互い実家だったから家族がいない時にこっそり家に行ったりとかだったけど、これから心置きなく出来ると思うと…やっぱ嬉しい。」

照れくさそうに目を細めて笑みを浮かべる俊くんに、私も嬉しくて笑顔で応えた。

「私も…俊くんとくっつきたいもん。」

頬に俊くんの手が添えられて、そっと唇が重ねられた。

何度かキスを繰り返し、唇を離して息をつく。

気付けば部屋の中は薄暗くなっていて、もうすぐ日が暮れることを知らせていた。

「…そろそろ夕飯の買い物行こうか。」

「…うん。」

「色々揃えないといけないしな。」

「何を?」

「の歯ブラシとか洗顔とか?」

あぁ、そうか。

これからこの部屋で朝を迎える日が増えるんだ。

恥ずかしくもあったけれど、それ以上に胸がじんわり暖かくなった。

言った俊くんが赤くなっているのがまた可愛くて、背中を向けて上着を着ている彼に飛び付いた。

少し大人になって、私たちの関係がまた一歩前へと進む。

また、彼を好きになる。
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