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黒子のバスケ*Short Stories3

第7章 新しい時間*伊月*


小さな玄関に、廊下の途中に台所。

もう一つ扉を開けると、少し広いフローリングの部屋が現れた。

目に入ったのはパイプベッドにテレビ、あまり大きくない四角いテーブル。

よく見ると壁際には本とDVDが並べられた棚。

グレーのカーペットが私の足を埋めている。

小綺麗…というか、物があんまりない。

男の子の部屋ってこんな感じなのかな?

俊くんの実家の部屋はもうちょっとごちゃっとしてた気がしたけど…。

「俊くん、荷物少なくない?」

「実家に置いてきてるのもあるからな。まぁ、俺の部屋にも姉さんたちの服がしまってあったりしたし。」

そっか、と相槌を打つけど、初めて来た彼の部屋での勝手がわからない。

戸惑う私を見て、俊くんは少し面白そうにくすっと笑った。

「、とりあえずコート脱いで適当に荷物置いて。飲み物持ってくるから、座ってて。」

「…はーい。」

何か俊くんは余裕があってずるい。

初めての場所にただでさえ少し緊張してしまうのに、一人暮らしを始めた彼の部屋というのが加わりさらに体を強張らせる。

落ち着け、落ち着け。

ふぅっと一つ息をつくと、台所から俊くんが声をかけてきた。

「、コーヒーと紅茶あるけど、紅茶でよかった?」

「うん。あ!私お土産持ってきたんだ。」

緊張してすっかり忘れてしまっていた手土産を台所の俊くんへと運んだ。

「お!ここのコーヒーゼリー美味いんだよな!ありがとう。」

箱を開けてにこにこ笑顔を浮かべる俊くんはすっかりご機嫌。

そこのコーヒーゼリーお気に入りなこと、もちろんちゃんと覚えてる。
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