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黒子のバスケ*Short Stories3

第50章 眠り姫がくれた奇跡*高尾*


学校が始まり、部活も今年のWCに向けてより熱が入るようになってきた。

夏も終わり秋が深まっても、ちゃんの様子が変わることはなかった。

「ちゃん。」

慌ただしくて中々会いに来られなかったから、今日は久しぶりのお見舞い。

相変わらず穏やかな表情で眠りに落ちたまま。

「悪ぃな。WCの予選始まったから、中々来られなくなっちゃって。」

髪に指を通すと、定期的に洗髪されているお陰でさらりと滑らかな感触がした。

約1年髪の毛を切っていないから、随分と長くなっている。

「ちゃんと勝ってるから安心してな。」

来られる日が限られてきたから、いつ目を覚ましてもいいように、あのノートに思いを綴ることにした。

言葉を選び、何度も書いては消して、長くはないメッセージを完成させた時にはすっかり日が暮れていた。

「…そろそろ起きてくれねぇと、今年俺達が優勝する瞬間見れないぜ?」

いつも隣で支えてくれていた彼女と、一緒に最高の瞬間を味わいたい。

それは俺だけじゃなくて、チーム皆の願い。

形のいい唇にそっと口付けをし、病室を後にした。
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