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黒子のバスケ*Short Stories3

第48章 二人だけの夏が始まる*小金井*


コンビニに入るとひんやりと肌を刺すほどの冷気が触れてきた。

迷うことなくアイスのケースの前に二人並ぶと、魅力的なアイスたちに目移りしてしまった。

宝の山から私は二種類のアイスを交互に見比べて頭を悩ませた。

「うーん…。」

口元に手をあてて眉を寄せて悩む私に、コガ先輩は気付いて声を掛けてくれた。

「どうしたの?」

「鉄板のソーダ味にするべきか、期間限定のマンゴー味にするべきか…悩んでるんです。」

「あー!俺も今それで悩んでた!…じゃあ、俺ソーダ買うから、マンゴーにしてよ。そしたら半分こ出来るじゃん!」

「そうですね…そうしましょう!」

「半分こ」という言葉に胸がきゅっとなって、ついつい嬉しくてにやついてしまう。

会計を済ませて、コガ先輩ごちそうさまです、とわざとらしく言ってみれば、また悔しそうな顔をして唇を尖らせていた。

「あ、あの公園で食べよっか。」

「はい。」

目先にあった小さな公園はすっかり子ども達の姿はなくなっていて、私たち二人だけだった。

ベンチに並んで腰掛けて、手渡されたマンゴー味のアイスバーにそっと歯を立てた。

口にすればするほど、さっきまでの暑さが嘘のように身体に爽快感が走った。

「あー!やっぱソーダは安定の美味さ!、マンゴーのやつ一口ちょうだい!」

「はい、どうぞ。」

自分のアイスを先輩に差し出すと、当たり前のように彼も自分のアイスを私に渡してくれた。

先輩は気付いてるのかな?

戻ってきたアイスを食べ進めると、必然的に間接キスになるってこと。

一人だけ意識してしまうと照れくさいから、私は知らないふりをしておこう。


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