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黒子のバスケ*Short Stories3

第48章 二人だけの夏が始まる*小金井*


アイスを噛じりながら、段々と薄暗くなる空を眺めながら、夏の夕暮れのお喋りに花が咲いた。

「暑いけどさ、夏ってなんかワクワクするよね!」

「そうですね。…あ!去年リコ先輩のお家でバーベキューしましたね!」

「そうそう!火神がずっと肉焼いてくれてさー!あー…思い出すだけでよだれが…。」

「先輩汚いです。」

「ひどっ!」

他愛もないことで笑い合えて、二人の間の空気が心地良い。

彼が笑うと私まで心の中がぱっと晴れて笑顔になれる。

残り少ない一緒にいられる時間が無くならないように、だからこそこのままでいたい。

「今年の夏もいっぱい遊ぼう!」

「そうですね!合宿もあるし、お祭りとかもあるし、皆でいっぱい出かけられたらいいですね。」

残り少なくなったアイスを囓って食べ終わっても先輩からの返事が返ってこない。

不思議に思って隣りに座る先輩の様子を窺うと、何やら珍しく神妙な面持ちをしていた。

「先輩?」

すると先輩は唇を真一文字にして、私を真っ直ぐに見つめた。

「…二人で出掛けない?」

嘘なんてつけない先輩から聞こえた言葉は本音なのは間違いなくて。

視界にいる先輩の顔も真っ赤で、私も顔にも熱が宿っている。

はい、と頷けば、目の前に広がるのは向日葵みたいな先輩の笑顔。

夏が終わる頃、今よりも一歩前の関係に進めますように。
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