第43章 世界に一人だけ*笠松*
それからまもなく、監督から次のキャプテンの指名を受けた。
最初は戸惑ってしまったが、監督と二人で話し合い、引き受けることにした。
監督は明日部員全員に伝えると言っていた。
その前に、誰よりも先に、あいつに伝えたいと直感的に思った。
底辺にいた時、また進めるように導いてくれたのはあいつだ。
自主練中に呼ばれたから、もう誰も体育館にはいなかった。
そこで部活の連絡網に載っていた携帯の番号をタッチして、スマホを耳にあてた。
「…もしもし?」
登録されていない名前が表示されない番号に、疑問を感じながら電話に出る声が受話器越しに聞こえてきた。
「笠松だけど…お前登録されてない番号にスッと出てんじゃねぇよ。 」
「え…笠松先輩!?え!どうしたんですか?何で番号…。」
そりゃいきなり俺から電話かかってきたら、ビビるか。
「部活の連絡網見た。…あのさ、お前今どこにいる?」
「駅前にいますけど…。」
「時計台の下で待っとけ。いいか?すぐ行く。」
「はい…。」
電話を終わらせたと同時に、が待つ時計台へと足を走らせた。
早く会いたい。
早く伝えたい。