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黒子のバスケ*Short Stories3

第43章 世界に一人だけ*笠松*


それから夏を迎えて、年に一度のIHで俺のミスで大事な試合に負けた。

罪悪感や後悔で気持ちがささくれて、しばらく練習にも身が入らなかった。

周りの奴らは誰も俺のことを責めなかったし、そんなことする奴らじゃないのはわかっているが、自分への自責の念は中々消えてくれなかった。

「笠松先輩、タオルどうぞ。」

「…おう。」

が心配そうな表情を浮かべながら、おずおずといつも通リにタオルを渡してくれた。

タオルを広げると、何かが足元に落ちていった。

拾い上げて中を確認すると、丁寧な文字で言葉が綴られていた。

「笠松先輩、一緒に前に進みましょう。私はいつでもサポートします。」

「頑張れ」だとかありきたりな言葉ではなく、きっと慎重に言葉を選んで書かれたその手紙を読むと、混沌とした心中が少し軽くなった。

を「チームメイト」としてのくくりではなく、「」というただ一人として見るようになったのはこの時が始まりだった。

何故かにスポットライトが当たるかのように視界に入るようになり、言葉を交わせば嬉しくなった。

「笠松先輩、もうすっかり女性恐怖症克服ですね!私とちゃんと目を見て話せますもんね。」

「お前以外は全然変わらねぇよ。さすがに毎日顔合わせて話してれば慣れた。」

「…私だけ、特別ですか?」

「んー…まぁ、そうなるな。」

「特別」という言葉が出て初めて気付いた。

…そうか。

俺はを「特別」だと思っている。

つまり、俺はあいつが好きなんだ。
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