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黒子のバスケ*Short Stories3

第43章 世界に一人だけ*笠松*


昔から何故か「女」というものが苦手だった。

話しかけられるとまるで外国人と話すかのように戸惑うし、相槌しか打てない。

向かい合うとか、隣に立つとか、そんなことをしてみようものなら身体が硬直して石のようになってしまう。

クラスの女子ですら3学期に入って、ようやく目を合わせなければ少し会話が出来る様になったくらいだった。

そんな中で部活に初めてマネージャーが入った。

それが1学年下のだった。

森山が「女子だ!女子だ!」と手放しで喜んでいるのをよそに、妙に緊張して変な汗をかいたのを覚えている。

もちろん俺が女子を苦手なことを知らないは、俺に対して普通に話しかけてきた。

「笠松先輩、小堀先輩タオルどうぞ。」

「ありがとう。部活は慣れたか?」

「少しずつですけど慣れてきました。ご迷惑ばかりおかけしてしまって…。」

「そんなことないって。俺たちもサポートするから遠慮なく言ってくれよ。な、笠松。」

「…おう。」

優しく笑ってと会話を弾ませる小堀を本当に尊敬する。

何でそんなに普通にしていられるんだよ。

「ごめんな、。笠松は女が苦手なんだよ。」

「お前っ…!」

秘密を明かされたみたいで気恥ずかしくて小堀に肩パンすると、はきょとんと目を丸くして眺めている。

「…何だよ。」

「良かった…。笠松先輩、いつも私と目を合わせてくれないから嫌われてるのかと思ってたんです。」

はほっと肩を撫で下ろして、柔らかくて微笑んだ。

「…嫌いじゃねぇよ。」

「私のこと女子だと思わなくていいですから!ビシビシしごいてくださいね。」

最初はその言葉通りにすることが難しかったが、さすがに毎日顔を合わせて接していくうちに慣れていった。

厳しい練習でも弱音を吐かず、いつも献身的にサポートしているを「女」というくくりではなく、「チームメイト」として見るようになったのに時間はかからなかった。
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