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黒子のバスケ*Short Stories3

第42章 太陽と月*小金井*


図書館で待っていると、バタバタと大きな足音が近づいてきた。

「、お待たせー!ごめんね!」

「お疲れ様。そんなに慌てて来なくても大丈夫だったのに。」

「何言ってるの!早く会いたいんだから走ってくるのは当然でしょ?」

真っ直ぐな気持ちが心にすっと響いてくる。

慎二はそっと私の手を握って、そのままゆっくりと二人並んで歩き始めた。

「今日さ、練習の時にシュートめっちゃ決まってさ!それで…」

毎日部活の時はどんな話題でも一生懸命に話す姿を見ると、本当に楽しくて仕方ないんだなって伝わってくる。

慎二がたくさん話してくれるから、口下手な私にとっては本当に有り難い。

慎二が嬉しそうだと、私も一緒に嬉しくなる。

ただ、いつも思うのはもっと上手く相槌が打てたらな、とか。

慎二みたいに表情がくるくる変わったらな、とか。

話しててつまらないって思われているかも、なんて心の隅っこでそんな考えが過る。

「?どしたの?」

むにっと軽くほっぺたをつねられたかと思えば、かなりの至近距離に慎二の顔があった。

「…ううん、何でもないの。」

首を横に振って、口元に薄く笑みを作ってみたけれど、慎二はまだ眉間にシワを寄せている。

「嘘つかないの!の顔見れば何でもなくないことくらい、俺だってわかるよ。…それとも俺には話せない?」

その言葉にはっとして、慎二の表情を窺うと、眉を下げて瞳は少し揺らいでいた。

…私がこんな顔させてしまってるんだ。

だめだ。

口下手なんて言い訳にしないで、ちゃんと言葉にして届けよう。

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