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黒子のバスケ*Short Stories3

第42章 太陽と月*小金井*


「あのね、慎二は私のどこを好きになったのかなって…。私慎二の話に上手く反応できないし、慎二みたいにたくさん話したり、喜怒哀楽をはっきり見せたりできないし…。」

自分の悩みを口にしてしまうのはとても恥ずかしくて、慎二と目を合わせることが出来なかった。

視線を逸らしていると、暖かい両手で私の両頬が包まれて、ぐりんと顔の向きを変えられた。

視界いっぱいに広がる慎二の表情はとても柔らかくて、頬もほんのり赤い。

呆れられてしまうかもしれないと思っていた分、安心感がその反動ですごく大きくなった。

「俺、にそんなこと求めてないよ?」

「え…?」

「俺のどんな話でも真剣に聞いてくれるし、たまに見せてくれる笑顔が可愛いなって思ってるし…。とか水戸部とか、周りの人をほっとさせる空気を持っている人に憧れてるのかな?俺には絶対できないからさ!」

「憧れ」という言葉が鍵となって、今まで少し疑問に思っていた謎が解けた気がした。

私たちはお互い無い物ねだりをしていて、だから正反対のタイプに惹かれたんだ。

「…私もだよ。私は慎二みたいに周りを明るくしたりは出来ないから、ずっと憧れてたと思う。慎二は太陽みたいだもん。」

「え!も俺に憧れてたの!?うわー…嬉しいけど、なんか恥ずかしい!」

顔を真っ赤にして満面の笑みを見せてくれたことが嬉しくて、そっといつの間に降りていた指先を握った。

「…好きだよ。」

目を見て伝えることは出来なかったけれど、ちゃんと慎二には私からの初めての告白が聞こえていたみたい。

恐る恐る見上げてみれば、真っ赤な顔した彼に力いっぱい抱きしめられたから。

こっそり耳元で囁かれた言葉で、私はまた笑顔にされた。

「俺が太陽なら、は月みたいだよ。優しい光で照らしてくれるんだから。」

「…慎二、ポエミーだね。」

「もー!俺だって言っちゃってから恥ずかしくなったんだから!」
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