第42章 太陽と月*小金井*
「あのね、慎二は私のどこを好きになったのかなって…。私慎二の話に上手く反応できないし、慎二みたいにたくさん話したり、喜怒哀楽をはっきり見せたりできないし…。」
自分の悩みを口にしてしまうのはとても恥ずかしくて、慎二と目を合わせることが出来なかった。
視線を逸らしていると、暖かい両手で私の両頬が包まれて、ぐりんと顔の向きを変えられた。
視界いっぱいに広がる慎二の表情はとても柔らかくて、頬もほんのり赤い。
呆れられてしまうかもしれないと思っていた分、安心感がその反動ですごく大きくなった。
「俺、にそんなこと求めてないよ?」
「え…?」
「俺のどんな話でも真剣に聞いてくれるし、たまに見せてくれる笑顔が可愛いなって思ってるし…。とか水戸部とか、周りの人をほっとさせる空気を持っている人に憧れてるのかな?俺には絶対できないからさ!」
「憧れ」という言葉が鍵となって、今まで少し疑問に思っていた謎が解けた気がした。
私たちはお互い無い物ねだりをしていて、だから正反対のタイプに惹かれたんだ。
「…私もだよ。私は慎二みたいに周りを明るくしたりは出来ないから、ずっと憧れてたと思う。慎二は太陽みたいだもん。」
「え!も俺に憧れてたの!?うわー…嬉しいけど、なんか恥ずかしい!」
顔を真っ赤にして満面の笑みを見せてくれたことが嬉しくて、そっといつの間に降りていた指先を握った。
「…好きだよ。」
目を見て伝えることは出来なかったけれど、ちゃんと慎二には私からの初めての告白が聞こえていたみたい。
恐る恐る見上げてみれば、真っ赤な顔した彼に力いっぱい抱きしめられたから。
こっそり耳元で囁かれた言葉で、私はまた笑顔にされた。
「俺が太陽なら、は月みたいだよ。優しい光で照らしてくれるんだから。」
「…慎二、ポエミーだね。」
「もー!俺だって言っちゃってから恥ずかしくなったんだから!」