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黒子のバスケ*Short Stories3

第40章 貴方だけの私*紫原*


監督のところへ向かう時、ふと後ろを振り返ると大きな敦が何だか小さく見えた。

その表情はどことなく寂しそうで、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

監督と練習メニューの打ち合わせをしながらも、脳裏にさっきの敦の姿が浮かんでくる。

「ぼけっとするな。…明日で合宿は終わりだぞ?」

「あ…すみません。」

監督はニヤリとからかうように笑みを浮かべて、私を眺めていた。

「そろそろお前を解放してやらないと、紫原が限界みたいだしな。」

「敦がですか?」

「あいつは独占欲強いだろ。…まぁ、後はあいつから聞きな。」

そう言うと、打ち合わせもキリがついていたので、監督は食堂から出て行った。

そろそろ私も寝る準備しようかな…。

「あれ、。監督と打ち合わせは終わったの?」

食堂に入ってきたのは、寝間着なのに何故かスタイリッシュな氷室先輩だった。

「はい、ついさっき。先輩まだ寝ないんですか?」

「喉が渇いたから、水をもらってから寝ようと思って。」

先輩はグラスに水を注いで、ぐっと飲み干した。

「毎日お疲れ様。いつも本当にありがとう。」

「そんな!私も楽しくて頑張れるので、こちらこそ皆さんにありがとうですよ。」

「そうか…。なら安心したよ。この調子でIHも頑張ろうな。」

はい、と言葉を返すのと同時に氷室先輩に頭をぽんぽんと撫でられた。

すると不意に後ろから身体を引き寄せられて、頭の上から声が聞こえてきた。

「室ちん、ちんに触んないで。」

「敦!?」

頭上を見上げればやっぱり敦で、私を守るように肩を掴んで自分の方へ寄せて、ぎっと氷室先輩を見つめている。

「…別に下心なんてないんだけどな。、あとは任せるよ。」

仕方ないな、と言わんばかりの溜息をついて、氷室先輩は食堂を後にした。
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