第4章 真っ白な世界だからこそ*赤司*
「ところで、がこの雪だるまを作ったんだろう?」
征ちゃんはベンチの雪だるまの視線にも気付いて、また口許を綻ばせた。
「うん!…でもどうしてわかったの?」
「片目が赤い雪だるまなんて、しか作らないよ。」
気付いてくれた。
雪だるまの右目を赤に色付けたこと。
だって、思い浮かぶのは征くんだし、喜んでもらいたかったから。
隣にいる征くんが自分の携帯を取り出すと、シャッター音が聞こえた。
「…写真撮ったの?」
「が僕のことを考えて作ったものだからね。溶けてなくなってしまうけれど。」
征くんはまた笑顔を見せるけど、今度は彼の伝えたい気持ちが違っている。
「…そんなつもりじゃないし!」
少し大人びた表情で笑う時は、私をからかっている。
私の反応を見て、クスクス笑っている様子を見るとご満悦みたい。
とにかく、朝から喜びをお届けできて良かった。