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黒子のバスケ*Short Stories3

第4章 真っ白な世界だからこそ*赤司*


「それじゃあ、そろそろ行こうか。」

「うん。…あ、待って!」

私は雪で濡れてしまった手袋を外して、鞄の中に入れた。

すると征くんが私の手をとって、眉を寄せた。

「…冷たくなってしまっているな。」

雪にずっと触っていた私の手は、手袋越しでもだいぶ冷えてしまっていた。

征くんは自分の右手にはめていた手袋を私の右手に被せた。

「征くん、いいの?」

「あぁ。片手は繋げばいいだろう?」

「…ありがとう。」

当たり前のようにさらりと口にしたけど、私未だに征くんと手を繋ぐのドキドキするって知っててでしょ?

また征くんが私の手に触れた。

すると、私の手の甲を上にして、そっと持ち上げた。

「どうかし…」

手の甲に一瞬触れた征くんの唇の温もりが、私の言葉を止めた。

手の熱は一気に身体中に広がって、顔まで熱くなってきた。

「白い雪景色に、の真っ赤な顔が映えているよ。」

「もう!からかわないで!」

「からかっているわけじゃないよ。…可愛いと思っただけだ。」

そう言うと、征くんは私の手を包み込むように握ってゆっくりと歩き出した。

さっきの言葉は本当だ。

だって、横顔から覗く白い頬にほんのり赤色が挿しているから。

真っ白な世界だからこそ、二人の足跡がくっきりと残る。

真っ白な世界だからこそ、いつもより鮮やかな貴方の色。
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