第34章 プライドなんて捨ててしまえ*花宮*
連日の嫉妬に程々疲れ果てて、もう限界だった。
あいつを自分のものにしたくても、向こうが同じだという確信が持てないのに無謀な賭けに出たくなかった。
あとは、他人に翻弄される自分というものが心のどこかで認められなかった。
きっとあいつがいるんだろう、と今日も重い体育館の扉を開いた。
すると、俺を呼ぶあの声が聞こえない。
あいつがいないだけで、体育館がいつもより何倍も広く感じた。
少しの間立ち尽くしていたようで、後ろからとんと肩を叩かれた。
後ろを振り向くと、きっちり髪をセットした健太郎が立っていた。
「何してんの、花宮。」
「いや、別に。」
「ふーん。…まだ来てないのか。珍しいな。」
「チッ…遅刻なんかしやがって…。」
苛立つ気持ちを抑えようとその場を離れようとした時、原が続けて入ってきた。
「おっすー。なぁ、聞いて聞いて。さっき中庭で告られてるっぽいの見ちった。」
は?告白?
ちょっと待てよ。
そんなに簡単に奪われたらたまんねぇだろ。
こっちはこんなにあいつなんかに頭悩ませられてんだよ。
あいつを隣に置いておけるのは、俺だけだ。