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黒子のバスケ*Short Stories3

第34章 プライドなんて捨ててしまえ*花宮*


放課後体育館の重い扉を開ける。

大体部員では俺が一番に来るが、必ず先にあいつがいる。

確信を持ってはいたが、姿を見つけると口元が僅かに緩む。

「あ、花宮くん!今日も早いねぇ。」

「お前よりか遅いだろ。てか、お前他にやることねぇの?マジで暇人だな。」

「うるさいなー。早く部活来たいんだからいいでしょ?」

「悪いなんて言ってねぇだろ。…ほら、ボール出しといてやるからドリンクの準備してこい。」

「ありがとう!じゃあお言葉に甘えまーす。」

ドリンクを作るの背中を横目で見ながら、改めて思う。

有り得ねぇだろ。

俺が一人の女を「特別」だと感じてしまうのは。

は目立つタイプじゃないし、取り分け美人って訳でもない。

ただ相手がどんなやつでも分け隔てなく接するから、俺の本性を知ってもそれを受け入れてくれた。

だからあいつを俺だけのものにしたいと思ってしまう。

妬みか嫉みかあいつが他の男と話しているだけで妙に苛々する。

会話を耳にしたり、その姿を見かけると、条件反射でその場を離れてしまう。

「テスト近いけど大丈夫なの?」

「そんな訳無いじゃん!瀬戸くん、勉強教えて?」

俺に聞けばいいだろ、そんなの。

「ねぇ原くん、前髪切ったら?」

「えー?俺前見えてるし切らないってー。」

どうでもいいだろ、そんなの。

「、頭にゴミ付いてる。」

「うそ!取って取って!」

古橋、そいつに触んなよ。

気付いたらその姿を目で追って、他の奴らと楽しそうにしてることに腹が立つ。

…重症だ。
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