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黒子のバスケ*Short Stories3

第24章 暖かくて甘い時間をあなたに*伊月*


「これ…が作ったの?」

「うん…。」

お皿の中央には粉砂糖でお化粧されたフォンダンショコラ。

ささやかながら周りにデコレーションが施されている。

「作るの大変じゃなかった?」

「ううん。…だって結婚して初めてのバレンタインだし、頑張りたいじゃない。」

「…ありがとな。じゃあ早速…頂きます。」

フォークを差し込めば、中からとろりとチョコレートが流れ出した。

俊くんはしっかりチョコレートをスポンジに絡めて、口に運んだ。

「…どう?」

「美味しいよ。…温かいチョコ出してもらえるっていうのも、こういうシチュエーションじゃなきゃ難しいもんな。」

そう、出来立ての温かいお菓子を贈りたかった。

今までも毎年バレンタインにはチョコをプレゼントしていたけれど、作っておいたトリュフやクッキーやマフィンだった。

軽快にフォークを進める俊くんを見て、ほっと胸を撫で下ろした。

すっかり食べ終わり食後のコーヒーを啜る俊くんに、不意打ちであの言葉を伝えることにした。

「ねぇ、俊くん。」

「ん?」

「愛してる。」

俊くんがその言葉を耳にした瞬間、真っ赤な顔で私の方を凝視した。

「何!いきなりどうしたの!?」

「今日バレンタインだから…ちゃんと言っておこうと思ったの。いつもありがとうね。」

そう言って俊くんに笑顔を贈れば、俊くんは私の大好きなあの柔らかな笑顔を浮かべてくれた。

「こちらこそ、だよ。がいてくれるから、俺は頑張れるんだから。」

私、この人と結婚してよかったな。

こんなに優しくて素敵な旦那様、いないもん。

「愛してる」なんて普段は恥ずかしくて言えないから、毎年2月14日は愛言葉を伝える日にしよう。

来年も暖かくて甘い時間をあなたに。
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