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黒子のバスケ*Short Stories3

第24章 暖かくて甘い時間をあなたに*伊月*


お家にいる時は、必ず玄関までお出迎え。

「俊くん!お帰りなさい!」

彼の首に腕を回して抱き付いて顔を寄せると、俊くんは私の背中をそっと撫でた。

「ただいま、。」

そう言うと俊くんはいつもよりも近くにある私の頬に軽くキスをした。

このキス、実はすごく好き。

「今日は早かったんだな。」

「うん。あんまり忙しくなかったからね。」

なんて言ってみるけど、バレンタインに向けて必死に仕事終わらせて、今日は定時ダッシュしたんだよね。

「俊くん、先にお風呂入る?ご飯も出来てるけど…。」

「ご飯だな。…風呂は後で一緒に入ろう?」

「…うん。」

綺麗な黒の瞳で優しく微笑まれてしまっては、やだ!なんて言うことは出来ない。

少し大胆な旦那様が着替えている間に、台所へ戻り夕飯の支度を始めた。

こっそりお皿に生クリームやフルーツをデコレーションして冷蔵庫へ戻すと、部屋着に着替えた俊くんがリビングにやって来た。

「今日のご飯何?」

「今日はね、豚肉のしょうが焼き。」

「おっ!しょうが焼きなんてしょうがないでしょうが!」

「…しょうがないなぁ、俊くんは。」

ダジャレに反応すると、俊くんは子供みたいにぱぁっと瞳を輝かせる。

昔から変わらないんだから。

いただきます、と手を合わせて、向かい合って同じものを食べられることが当たり前だけど幸せ。

私の未熟な料理を何でも美味しいと言ってくれる優しさにいつも救われている。

ごちそうさまと言って一呼吸置く彼に、食後のコーヒーと一緒に温めておいたお菓子を乗せたプレートを添えた。
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