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黒子のバスケ*Short Stories3

第23章 バレンタインイブは「おめでとう」*森山*


もうそろそろ寝た方がいいかと思いつつ、ベッドに入って携帯をいじっていた。

すると不意に携帯が震え、画面に彼の名前と電話番号が表示された。

「由孝?…どうしたの?」

「ん?何かの声聞きたくなって。…今日はありがとう。すごく嬉しかった。」

少し寂しいなっていう絶妙なタイミングで電話してくるなんて、気持ちがシンクロしたみたい。

何だか嬉しくて、ついつい声が弾んでしまう。

「よかったぁ…。気付かれてたらどうしようってソワソワしてたんだ。」

「まさかあんな形でとは思わなかったよ。…俺さ、いつもはサプライズする側が多いけど、やっぱりされると嬉しいんだな。」

誕生日やクリスマス、記念日というイベントに敏感な彼は、工夫を凝らしたサプライズを仕掛けてくる。

何かしてくるとわかっていても嬉しいんだから、普段そういうことに無縁な私が贈ったサプライズは相当嬉しかったみたいだ。

「折角の誕生日だもん。由孝って普通にお祝いしてもびっくりしてくれなさそうだし。」

「からおめでとうって言ってもらえるだけで幸せだけどね。」

「…すぐ上手いこと言うんだから。じゃあ、もう一回ね。…お誕生日おめでとう。」

「ありがとう。…あのさ、。日付変わったからさ、もう一つお願いがあるんだけど。」

確かに部屋の置き時計を見ると、12時を過ぎて彼の誕生日は終わっていた。

「いいよ、何?」
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