第23章 バレンタインイブは「おめでとう」*森山*
「今日は何の日?」
「…バレンタイン。」
「そう。ちょっと早いけど、からの告白が欲しい。」
…そうきたか。
チョコ渡す時にも言ってってお願いされるんだろうな。
私は机の上にあるチョコに視線を一度移して、ふぅっと息をついた。
「…由孝、大好き。これからもずっと一緒にいてね。」
改まって言うと照れくさい告白の後、少し沈黙が走る。
…彼の理想の告白じゃなかったのかな?
「由孝?」
名前を呼び掛けると電話の向こうから、いつもと少し違う様子で答えが返ってきた。
「…やばい。嬉しすぎて何も言えなかった…。、もう一回!」
「やだ!すっごい恥ずかしいんだから…。」
「そこを何とか!」
拒否し続けながらも、チョコ渡す時にもう一回催促される前に言おうかな、なんて思ってしまう私はやっぱり彼には甘いみたい。
バレンタインイブは彼に「おめでとう」って伝える日。
そして今日は彼に「大好き」って伝える日。