第3章 Happy New Year! 2014*黒子*
「く…黒子くん!」
名前を呼ぶだけなのに、心臓の音がやけにうるさく聞こえた。
彼は私の声に気付くと、少し驚いたように大きな目を見開いた。
「さん…。明けましておめでとうございます。初詣ですか?」
「うん。黒子くんも?」
「はい。バスケ部の皆さんと来たんですが、この人混みではぐれてしまって…。」
あぁ、だからか。
立ち尽くして少し寂しそうにも見えたのは。
「連絡とれないの?」
「今日に限って携帯を家に忘れてきてしまったんです。…さん、もし良ければ一緒に行きませんか?」
「…え!?」
突然のお誘いに、心の準備が出来ていなくて。
変な声出ちゃったし、絶対変な顔してるよ、私!
「このままここにいても会えないような気がします。火神くんがいるので、参道の方まで行ったら見えるかもしれませんし…。」
黒子くんと二人で初詣なんて、神様は何てチャンスをくれたんだろう。
でも友達待たせてるしな…。
思いを巡らせていると、鞄の中の携帯が震えた。
「もし黒子くんと行くことになったら、私たちのことは気にしないで!行け!」
「、頑張れ!」
遠くの方に見えたのはこちらを見つめて笑顔で拳を握る友達の姿。
今年の運、全部使いきってもいいから二人きりになりたい。
「私で良ければ…お願いします。」