第21章 届け、この想い*日向*
放課後の部活の後に、部員皆にチョコを配った。
皆嬉しそうにしてるし、食べても普通にしてるから一安心。
チョコを渡すタイミングを掴めず、結局日向の自主練が終わった後を狙うことにした。
日向と伊月が体育館を出た後に急いで着替えを済ませ、部室の前で一人待っていた。
すると先に中から日向が出てきた。
待って待って待って。
心の準備が…!
小さな葛藤を払拭して、日向に声をかけようとした。
「日向…あの……」
日向は私の手元に視線を落として、それから私の目を見ずに口を開いた。
「伊月ならまだ中にいるぞ。…それ、渡すなら行ってこいよ。」
日向の口から出た言葉に、心が凍りついた。
私が伊月のこと好きだと思ってるの?
一体どれだけ鈍感なのよ。
武将とバスケに心奪われてるから、乙女心がわからないんだ。
その言葉が出てくるってことは、私を好きではない。
「…私が好きなのは伊月じゃないよ。」
「…は?」
切なさと苛立ちが募り、私は持っていた箱を日向の胸に押し付けた。
「日向が好きなの!気付け、バカ!」
不意に涙が流れ、それを隠すように私は踵を返して走って昇降口へと向かった。