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黒子のバスケ*Short Stories3

第21章 届け、この想い*日向*


走って走って、息が切れて足を止めた。

涙は止まってくれなくて、ハンカチで拭いきれない。

昇降口まで辿り着くと、そこに日向が腕を組んで立っていた。

「言い逃げすんじゃねぇよ、ダアホ。」

「…先回りしたの?」

「帰るならここからしかねぇからな。運動部なめんな。」

日向がゆっくりと私のところに近付いてきた。

息が詰まりそう。

もうほぼ失恋確定してるのに、だめ押しされてしまうの?

「。」

名前を呼ばれてびくっと肩が震えた。

恐くて日向の顔が見れなくて、そのまま俯いていた。

「…泣かせて悪かった。あれは…その……あぁ言うしかなかったんだよ。」

「…どういうこと?」

「あそこでお前が待ってるの見て、もしかしてって期待した。でもそうじゃなかったら気恥ずかしいだろ。お前とはずっと友達だったし…」

恐る恐る顔を上げると、日向は頭をがしがし掻いていて、顔は赤く色づいていた。

「…照れ隠しだったの?」

「…そうだな。…俺もお前のことずっと好きだった。」

胸が熱くなって、体がどんどん熱を帯びていく。

やっと一方通行だった想いが、届いた。

「だから、もう一回ちゃんとこれ渡してくれ。…あれは色気無さすぎだろ。」

そう言って日向は私にさっき押し付けたチョコレートを返してきた。

「あれは日向が悪いんでしょ?…でも。」

今度こそきちんと伝えるよ、私の気持ち。

「…日向のことが好きです。受け取ってください。」

今度は目を見て真っ直ぐに想いを伝えれば、日向は今まで見たことのない柔らかな笑顔を浮かべていた。

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