第21章 届け、この想い*日向*
走って走って、息が切れて足を止めた。
涙は止まってくれなくて、ハンカチで拭いきれない。
昇降口まで辿り着くと、そこに日向が腕を組んで立っていた。
「言い逃げすんじゃねぇよ、ダアホ。」
「…先回りしたの?」
「帰るならここからしかねぇからな。運動部なめんな。」
日向がゆっくりと私のところに近付いてきた。
息が詰まりそう。
もうほぼ失恋確定してるのに、だめ押しされてしまうの?
「。」
名前を呼ばれてびくっと肩が震えた。
恐くて日向の顔が見れなくて、そのまま俯いていた。
「…泣かせて悪かった。あれは…その……あぁ言うしかなかったんだよ。」
「…どういうこと?」
「あそこでお前が待ってるの見て、もしかしてって期待した。でもそうじゃなかったら気恥ずかしいだろ。お前とはずっと友達だったし…」
恐る恐る顔を上げると、日向は頭をがしがし掻いていて、顔は赤く色づいていた。
「…照れ隠しだったの?」
「…そうだな。…俺もお前のことずっと好きだった。」
胸が熱くなって、体がどんどん熱を帯びていく。
やっと一方通行だった想いが、届いた。
「だから、もう一回ちゃんとこれ渡してくれ。…あれは色気無さすぎだろ。」
そう言って日向は私にさっき押し付けたチョコレートを返してきた。
「あれは日向が悪いんでしょ?…でも。」
今度こそきちんと伝えるよ、私の気持ち。
「…日向のことが好きです。受け取ってください。」
今度は目を見て真っ直ぐに想いを伝えれば、日向は今まで見たことのない柔らかな笑顔を浮かべていた。