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黒子のバスケ*Short Stories3

第19章 好きな人がくれた「好き」*実渕*


人混みでぶつかりそうになった時、玲央先輩が私の肩を自分の方へと寄せてくれた。

「結構人が増えてきたわね…。目星をつけたものを買って帰りましょうか。」

「そうですね…。」

ちょっと名残惜しくて項垂れていた時に、一つのチョコレートが目に飛び込んできた。

「うわぁ…!可愛い!」

そこに飾られていたのは、まるでフルーツタルトのようなチョコレート。

チョコレートのコーンフレークのカップに色とりどりのチョコレートとその色に合うドライフルーツがあしらわれていた。

「…素敵ね。すごく手が込んでいるわ。」

他にはないそのチョコレートがとても可愛くて、思わず時間を忘れて見惚れてしまった。

買おうかどうか本気で悩んでいると、隣からの視線に気が付いた。

「玲央先輩すみません!つい…。」

「いいのよ。ちゃんが楽しんでくれているなら。…そうだ!少しお茶して帰りましょう。」

「…はい!」

カフェで冷たい飲み物を頼んで、人混みの暑さで渇いてしまった喉を潤した。

「玲央先輩、付き合ってくださってありがとうございました!御礼も兼ねて、玲央先輩には奮発しないとですね。」

「そんなに気を遣わなくていいわよ。私もさすがに男一人であの場所には行けないから、ちゃんと一緒に来られて楽しかったんだから。」

すると携帯が鳴って玲央先輩は電話のために席を立った。

後ろ姿を見送りながらふと思う。

いつも優しくて気配り上手で素敵な玲央先輩。

バレンタインに告白したらどうなるのかな?

…焦っちゃダメな気がする。

でも、優しくされればされるほど好きになって、もっともっとって欲張りになってしまう。

「ちゃん、ごめんなさいね。お待たせ。」

玲央先輩の声でぐるぐる巡る思いからまた現実に戻った。

私の家まで送ってくれるということで、まだ寮の門限まで時間はあるけれど家路につくことになった。

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