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黒子のバスケ*Short Stories3

第19章 好きな人がくれた「好き」*実渕*


「夜になると冷え込みますね…。」

「そうね…。お肌が乾燥しちゃうわ。ちゃんそういえばあの化粧水使ってみた?」

「はい!あれ、すごく肌に合います。いいもの勧めていただいてありがとうございました!」

白い息を吐きながら、見上げて玲央先輩と視線を合わせた。

目が合ったことが何だか嬉しくて微笑むと、玲央先輩もにこりと微笑んでくれた。

こんな幸せな片想いでいいんでしょうか?

ふわふわした気持ちは家が見えた瞬間に沈んでいった。

「玲央先輩、今日はありがとうございました。気をつけてくださいね。」

ぺこりと頭を下げて顔を上げた時、玲央先輩の表情がいつもの柔らかな笑顔から真剣な眼差しになっていた。

「ちゃん。あのね、渡したいものがあるの。」

そう言って玲央先輩は鞄から小さな紙袋を取り出して私に差し出した。

「受け取ってもらえるかしら?」

「…?はい…。」

玲央先輩の手から紙袋を受け取り、中を覗くと小さな箱が見えた。

「開けてみて。」

その言葉に促されて箱を開けると、そこにさっき私を虜にしていたフルーツタルトのようなチョコレートが現れた。

「えっ!?玲央先輩…これ……。」

「私からのバレンタインのプレゼントよ。…日本は女子から男子が基本になっているけれど、世界的には男女関係なく愛する人へ贈り物をする日なの。」

玲央先輩の言葉の意味を理解するのに少し時間はかかってしまったけれど、気付いた途端に顔がどんどん熱くなって胸に暖かな気持ちが広がっていった。

「ちゃん、私はあなたのことが好きよ。…私と付き合ってもらえないかしら?」

「…私も玲央先輩が好きです。もう死んでもいいくらい幸せ…。」

「死んでもらっちゃ困るわ。だって今想いが届いたばかりなんだから。」

そう言って玲央先輩はチョコレートの箱ごと私を優しく抱き締めた。

好きな人がくれた「好き」。

その言葉こそ、チョコレート以上の最高のプレゼント。

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「ちゃん、私へのチョコレート作ってくれない?」

「え!?でも…。」

「どんなものでもちゃんが頑張ってくれたものなら嬉しいわ。…それに買ってしまったら皆と一緒になっちゃうじゃない。」

「…わかりました。玲央先輩は特別ですから…。」
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