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黒子のバスケ*Short Stories3

第19章 好きな人がくれた「好き」*実渕*


「玲央先輩いいんですか?付き合ってもらっちゃって…。」

「遠慮なんてしなくていいわよ。私も一度来てみたいと思っていたしね。さ、行きましょう。」

部活帰りに訪れたのは駅前のショッピングモールの特設のバレンタインコーナー。

玲央先輩とバレンタインの話になった時に、皆にチョコレートを用意しようと思ってることを話した。

すると玲央先輩は優しく微笑んで頷いてくれた。

「へぇ…。素敵だと思うわよ。手作り?それとも買いに行くの?」

「駅前のショッピングモールにでも買いに行こうかなと思ってます。」

「ちゃんが作るっていう発想はないの?」

「無理ですよ!私、すごく不器用だし…。まともにお菓子作れたことないですもん。」

「そう?…まぁ、それはそれで賢明かもしれないわね。もし良ければ私付き合うわよ?」

そんな成り行きで二人で女の子たちがひしめき合うこの場所に足を踏み入れた。

華やかでそそられるチョコレートが並ぶショーケースを二人で覗き込んだ。

「これ美味しそうですね!」

「そうね。トリュフなんか大人っぽくて征ちゃんに似合うわ。」

「こっちの大箱同じ値段なんですね。永吉先輩にあげようかな。」

「あいつは本当によく食べるものね…。あら?これ犬のパッケージだわ。」

「コタ先輩だ!」

二人ではしゃぎながらチョコレートを選んでいく。

まるで女友達と見ているかのような錯覚に陥るけど、やっぱり違う。

ショーケースを眺めるために屈む玲央先輩。

顔の位置がいつもよりも近くてついつい横顔を盗み見てしまう。

すると、私の視線に気がついて「どうしたの?」ってまた綺麗な笑顔を見せてくれた。

何でもないふりしているけれど、本当はドキドキ心臓の音が煩く鳴り響いている。

玲央先輩へのチョコレートは、一人で厳選しないと。
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