第9章 再会
目を覚ますと、辺りは暗くなっていた
(寝すぎたな
でも、こんなに寝たのは久しぶり
眠りの浅い、あたしが珍しい…)
ケータイを見ると、20時を過ぎている
『帰ろ…』
スニーカーからヒールに履き替え、エンジンをかけて出ようとしたその時、電話が鳴った
ディスプレイに表示された名前は
【赤井秀一】
『はぁ…
こんな時に、勘弁してよ』
私は、気付かないふりをしてケータイを助手席に放り投げ車を発車させた
(もう、疲れたよ)
当てもなく車を走らせる
気づくと思い出の海に来ていた
(結局、行き着く所がここか〜
未練たらたらじゃん)
自分に呆れて笑ってしまう
車内から、眺めていたが無性に海に近づきたくなった
(ここでは、ありのままの姿でいたい)
そう思い変装してる顔をとり、素顔に戻る
『あぁ、きもち…』
素肌に夏の風を感じ、足を進める
ヒールじゃ、砂浜は歩きにくくて脱いだ
少し海に入る
『死ぬなら、ここがいい』
足を止めることなく、どんどん海に入っていく
水の深さが腰を過ぎたくらいで急に深くなって足を取られた