第6章 壊された休日
せっかくおいしいものを食べたのに気分が悪い
それに着地に失敗して擦りむいた
(はぁ、最悪…)
私は来た道を戻る
すると、私の横に白い車が止まりクラクションがならされた
顔をあげると零くんの車が止まっている
助手席の窓が開く
《乗ってください、送ります》
『いえ、大丈夫です』
そのまま歩いて帰ろうとすると運転席から降りてきた彼の手に捕まる
《足、擦りむいてますし送らせてください》
そう言って助手席に乗せられた
《聞きたいことは沢山ありますが…
なぜ、こんな所に?彼らと一緒だったはずじゃ…》
『降りたんです』
《降りただけでどうして怪我してるんですか?》
『降ろしてくれなかったから無理矢理降りたんですよ』
そうですか、と言って口を閉じる
《僕の家が近いんでそっちでもいいですか?
手当もしないといけないし》
『いえ、家に連れて帰ってくれたらそれで…』
《僕の家に来るの嫌ですか?》
『嫌なわけじゃないですけど…』
《じゃあ、決まりですね》
そのまま家に連れていかれた
『おじゃまします』
私は零くんの家に上がらせてもらう
《何もありませんけど…》
ここは借り住まいなのだろう
物があまり置いていない
零くんは救急箱を持ってきて私の足の怪我を手当してくれようとする
『自分で出来ますよ!こんな事までさせられません!』
《僕がしたいんですよ、座っててください》
彼は慣れた手つきで手当てしていく
《はい、出来ました》
『すいません、ありがとうございます』
《じゃあ、こちらのテーブルで待っていてくださいね》
救急箱をなおして今度はキッチンにいく
《どうぞ、コーヒーで申し訳ありません》
『……いただきます』
もらったコーヒーを素直に飲む
『ふぅ…安室さんのコーヒーは落ち着きますね』
《それはよかったです》
それから二人でたわいもない話をした
彼が真剣な顔をして聞いてくる
《彼らとはどういう関係ですか?》
『…気になります?』
《気になります》
『……』
少し間を開けて答える
『あたしは、あなたと同じです』
《同じ…?》
『組織の人間ってこと』
それ以上、彼は聞いてこなかった