第6章 壊された休日
コーヒーも飲み終わり、カップを置く
『あたし、そろそろ帰りますね』
そう言って立ち上がる
《もう一つ聞いてもいいですか?》
『何でしょう?』
《付き合ってる方がいらっしゃるんですね》
『は?』
突拍子もない質問に間抜けな声が出る
『えーっと、どうしてですか?』
とりあえず聞き返す
《隠しきれてないですよ》
彼が首元に指を指して教えてくれる
ばっと手で首元を隠した
(あの時だ…)
思い当たる節がある
《その反応は…いるようですね》
『これは違います
付き合ってる人なんていません、本当です』
彼には誤解してほしくなかった
(あたしが好きなのは、零くんだよ
海で助けてもらったあの日から忘れたことなんてない
でも、この思いは言わない
零くんの邪魔になるだろうから)
言葉を飲み込む
『何でそんな事、聞くんですか?』
《それは…》
答えようとするのを制す
『やっぱり、いいです!
今日は本当にありがとうございました』
そう言って急いで部屋を後にした