第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
優しさに触れてしまうと、やっぱり彼女に昇格したいと思ってしまう。
でも、それは無理なのだと、思い知らされる出来事は起きてしまうものだ。
借りていたノートを写し終えて、赤葦くんに返しにいった時の事。
「…変な事、聞いてもいい?」
「何?」
「少しの間、避けていた人に誕生日祝われたら、大鳥なら、どうする?」
聞いちゃダメだと言えば良かったと、後悔した。
だって最近の状況から考えて、さくらちゃんの事を言いたいのは明白。
きっと、さくらちゃんの誕生日が近いんだ。
普通なら、告白してきた相手に他の異性の事なんか相談しない。
するのなら、対象外だから諦めろって通告されたようなもの。
「避けてた理由に…よるんじゃない?」
「…そう。例えば、だけど。
友人としか見れない相手に告白されたら、相手を避ける理由になる?」
例え話が下手だと思う。
絶対に、自分とさくらちゃんの事を言っている。
それは、つまり…。
赤葦くんは、さくらちゃんに告白したって事だ。
あれだけ、赤葦くんに依存していた彼女の事だから返事はオーケーの筈。
恥ずかしくなったから避けているんじゃないかな。
「返事は?オッケーしてるなら照れてるだけじゃない?ノーなら、友人に戻れない意思表示。」
後者は有り得ないと思ってるけど。
精一杯、友人として答えていた。