第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
そのまま、その場に崩れ落ちる。
意識は、はっきりしているから、すぐに立ち上がろうと床に着いた手。
その甲に、赤い液体が落ちてきた。
え?血?
それの正体に気付いた時、鼻に感じる違和感。
そっと、そこに触れると、明らかに血の発生源だった。
握手したくらいで、鼻血出すなんて興奮し過ぎだよ。
こんな顔、見せられない。
暫く下を向いたままで居ようと思ったけど、無情にもチャイムの音が鳴り響いて、席に戻らなければならなくなった。
さっきから、目立つ行動ばかりして注目されていた私は、赤葦くんのみならず、クラスメイトの皆にまで鼻血を出した所を目撃され…。
更には、教室に来た先生に心配されて保健室送りとなった。
保健委員の付き添いを先生が指示して、誰かを問うように目配せしているけど、うちのクラスの保健委員は…。
「俺です。」
赤葦くんだったりする訳で。
因みに女子の保健委員は、赤葦くんと同じ委員会に拘った私な訳で、名乗り出る筈がない。
赤葦くんに付き添って貰えるとかご褒美が過ぎる。
鼻血は止まらなくなりそうだけどね。
かなり恥ずかしい状態ではあれど、赤葦くんと2人きりになれる幸せを享受していた。