第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
握手していいんだろうか。
それって、お友達はオッケーと解釈して良いんだよね。
考え込んで動けないでいる内に、手は下げられてしまって。
折角の、赤葦くんに触れるチャンスは逃してしまったけど。
「あ、えっと。オッケーで良いの?」
「友達としてならね。」
この確認だけは怠れない。
少しだけだけど、口元を緩ませてくれたから、周りの目を気にしての事じゃないらしい。
彼女には昇格しないって、宣言されても、そこはどうでもいい。
クラスメイト以上の存在になれただけで、嬉しいから。
「うん、友達でいいの。それ以上は求めないから、たまにお喋りしたりしてくれると嬉しい。」
自然と笑って、仕切り直しの握手を求める。
すぐに軽く手を握ってくれて、それだけで興奮して倒れそうだった。
周りからは、告白が成功した並の歓声が巻き起こり、恥ずかしくもなってきて、すぐに手を払ってしまう。
それを気にした様子は無いけど、じっと手を眺めてから、何故かハンカチを差し出された。
「手汗、酷いよ。」
その理由が分かると、恥ずかしさが限界点に達する。
頭に血が集中して、沸騰したみたいに熱くなる。
その熱にやられて、足元がグラついた。