第2章 ※救済【サンカク。‐case3‐】※
約束をしてから、数ヶ月。
本当にリエーフは毎週末この店に訪れる。
毎回、会話をするというか、一方的に話して、満足して帰っていく。
しかも、元カノの愚痴なんかではなくて、
何のテレビが面白かった、とか、休みに何をしてた、だとか、
コメントのしようがない、雑談的な話ばかり。
しかも、ずっと喋り続けるものだから、話を変える機会も与えてくれない。
私が喋る機会も、ほぼ、ない。
あれ?私達って何で意気投合したんだったかな。
こっちの、元カレの愚痴とかは聞いてくれないの?って状態だ。
でも、約束を破って週末に来ないって選択肢は浮かばなかった。
店の大将が、私の話に付き合ってくれるのは仕事。
リエーフが、私に話をするのは私事。
それが、1人で店の大将相手に愚痴っていた時よりも、心地好いものだったのもあるし。
同じくらいの時期に失恋してるのに、立ち直ったように見えるリエーフが羨ましくて、
一緒に居たら、自分もあんなヤツを忘れられる気がしていたから。
ただ話を聞くだけの週末が、寧ろ、楽しみだと思えるようになっていた。