• テキストサイズ

【HQ】君を救う掌は…

第1章 救済【サンカク。‐case1‐】


納得出来ずに彼にまとわりついていた時と、今は状況が違う。
好きな人がいる、っていうのが事実だと分かっている。
だから、苦しくても、辛くても、諦めなくちゃいけない。

これを期に赤葦くんに絡むのは止めたのに、視線はついつい向かってしまって。
それは感じ取っているのか、たまにこっちを向くけど、目が合ったところで何かある訳でもなく。

ただのクラスメイトとして2ヶ月近くを過ごした頃…。

「赤葦くん、ちょっといい?」

クラスメイトって関係に、耐えきれなくて声を掛ける。

「あの、さ。赤葦くんが好きです!お友達になって下さいっ!」
「…は?」

限りなく他人に近い存在で終わりたくない。
そんな気持ちから発した言葉は、わざわざ申し込むような事柄じゃなくて。
赤葦くんも意味が分からないみたいで、1つの音を吐き出して固まっていた。

それで、静まり返ったりしなかったのは、ここが教室だったから。

私の発言を聞いていた人達が笑い出して、からかうように赤葦くんの返事を急かす。
こんな注目を集めて、完全に嫌われたと思ったけど。

「今更それ言う?」

真面目なトーンで返されて、今度は私が固まる番だ。
目の前に、握手を求める形の手が差し出されていた。
/ 62ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp