第2章 ※救済【サンカク。‐case3‐】※
…で、まぁ、こんな時間から女を連れ込むんだから、予想は出来ていたけど、リエーフは一人暮らしで。
お互いに傷心だと分かっているし、イイ歳した男女な訳だから、部屋に2人きりなんて状況は覚悟を決めるしかない。
とか、思っていたのは私だけだったようで…。
店に居た時と変わらず、マシンガントークをした挙げ句、電池切れを起こしたみたいに、突然寝てくれた。
やっと、嵐から解放されて安心したけど。
流石に、家の鍵も閉めずに帰る訳にはいかない。
「ちょっと、起きて。私、帰るから鍵閉めてよ。」
仕方無く、リエーフを起こそうと体を揺らした。
「…んー…。」
唸るだけで起き上がろうとはしてくれない。
それでも、しつこく体を揺らすと眠たげに目を開いて、ゆっくりと何かを指差した。
指し示された先には、棚がある。
「上の引き出しに鍵あるから、ゆえさんにやるよ。」
それで、飛び出したのは本日一番のビックリ発言。
「いや、貰っても困るから。」
「いいから、やるの!あげる!持ってって!」
すぐに断ったけど、何故か逆ギレして、ムキになったのか寝たフリをされた。
目をわざとらしく強く閉じてるから、分かりやすい。
でも、フリをしているって事は何をしても反応する気が無いって事だ。
帰る為には、棚の中の鍵を使うしかなかった。
人の家で棚を開けるのとか嫌だったけど、背に腹は変えられず、そこに入っていた鍵取り出す。
あげるって言われたけど、今日会ったばかりの限り無く他人に近い男のものだ。
受け取りたいとは思えなかったから、鍵を閉めてから郵便受けに返却して帰った。