第2章 ※救済【サンカク。‐case3‐】※
彼と別れた後悔とか、未練が全く無くなる訳ではない。
でも、そこは吐き出すだけ吐き出してしまえば、少しずつ薄くなっていく筈だ。
婚約破棄をしてから、初めて前向きな気持ちになれた。
この人なら、暗い話をしても全て明るく塗り替えてくれる。
何故か、そんな確信があって。
「…私、大鳥ゆえ。貴方は?」
「俺、灰羽リエーフ。リエーフでいいぞ。」
「そう。良かったら、今から一緒に飲まない?」
人生初の逆ナンをした。
別に、恋愛関係になろうとか、少しも思ってはいない。
お互いフラれたばかりで、すぐにそうなったら、ただの傷の舐め合いだ。
そこに、愛はない。
それは自分も辛いし、リエーフだって多分辛くなる。
「そっちがリエーフの相手してくれんなら、俺は帰らせて貰うな?」
向こうに連れが居る今なら、何も起きようがないからこその誘いのつもりだったのに。
「リエーフ、俺相手みたいに遅くまで引き留めたり、迷惑掛けんじゃねぇぞ?」
「失礼ですね!そんな事しません!」
その連れは、リエーフの愚痴に付き合いきれなくなっていたのか、これ幸いと立ち上がる。
「コイツ、話しつこいんで、ウザくなったら殴っていいですから。失礼します。」
リエーフの反論を無視して、野蛮な言葉をサラッと置いて帰っていった。