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【HQ】君を救う掌は…

第1章 救済【サンカク。‐case1‐】


何を言えば、納得して鞄を返してくれるか分からなくて。

「赤葦くん、彼女は?」
「いないよ。なんで、そんな勘違いしたの?」
「最近、話し掛けてくれなかったから。」
「いつも、話し掛けてくるの、大鳥の方だからね。俺からは、話題もないのに話し掛けにはいかないって、前にも言わなかった?」
「でも、好きな子居るんだよね?あんまり仲の良い女友達とか、作らない方が…。」
「俺の場合、女友達より問題になりそうなのは、さくらだと思うんだけど?」

思い付くまま喋ってみるも、全て打ち返される始末だ。
自分が期待したくないって事だけは、どうしても言えなくて、それ以上は何も思い浮かばなくて、黙り込む。

数秒後、溜め息が聞こえて、私の傍に戻ってくる赤葦くん。

「…知り合いの話、していい?」

口を開けば、出てきた言葉はこれで。
聞きたくなんかないのに、鞄を返して貰えないから逃げられなかった。

「やっぱり、告白はしないんだって。」

していいとは、決して言っていないのに、話は勝手に始まって。

「自分が、その人の事、傷付け続けてる自覚があるから、しないって言うよりは、出来ないが正しいかな。」

勝手に、続けられていく。

口を動かす赤葦くんの表情が痛々しくて、胸が締め付けられた。
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