第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
なんで、こんなに苦しいんだろう。
赤葦くんに、彼女が出来る可能性が1つ減ってるのに、なんで、嬉しくないんだろう。
隣に立つのが自分じゃなくても、幸せな顔をしてくれていたら…。
私が言った言葉を思い出した時、自分が苦しむ意味に気が付いた。
私は、赤葦くんが幸せそうにしてくれていたら、納得して諦められる。
「自分の気が多いからって理由で、諦められるくらいなら、その人の事、そんなに好きじゃないんじゃない?
告白くらい、したらいいじゃない。」
だから、分かりやすいくらいの挑発をする。
彼氏の女友達とか嫌がる人だったら、私は他人に戻ってもいい。
それだけの覚悟をする事が出来た。
『あくまで、女子の意見が欲しいから聞くけど。大鳥は、そんな男に告白されて、嬉しい?』
「人に好きになって貰えただけで、嬉しいよ。」
『そう。じゃあ、どういうシチュエーションで告白されたい?』
「あんまり派手なのは恥ずかしいから、放課後とかに2人きりになった時に、好きってストレートに言ってくれたら…って、私の理想聞いてどうすんの?」
流れで、自分が赤葦くんにされたい告白まで答えてしまう。
他の子相手にやられるのは、ちょっと微妙な気分である。
『参考にするよう知り合いに伝えるよ。有難う。』
一回口に出した言葉を取り消そうと思っても後の祭り。
通話は終わった事を知らせる電子音が響いていた。