• テキストサイズ

【HQ】君を救う掌は…

第1章 救済【サンカク。‐case1‐】


春高の、東京代表決定戦。
ここで勝てば、梟谷の全国出場が決まる。

そんな大切な試合なのだから、会場前ではすでにピリピリした空気を醸し出している人達が居た。
片方のジャージに見覚えがある…と、いうか、梟谷のジャージだ。

赤葦くんも、当然そこに居るだろう。
仲直りするきっかけとして、頑張って、くらい伝えたくて、そこに近寄る。

「あ!来てくれたんですね。」

すぐに気付いてくれたのは、さくらちゃんで。
赤葦くんは、反応したように私を見たけど、一瞬で目を逸らした。

もしかして、無視された?

それだけで、胸が痛んで。
この場には、赤葦くんと同じ空間には居たくない。

「あ、えっと。私、用事あるから試合は見れないの。折角誘ってくれてたから、顔だけ出しに来たんだよね。」

咄嗟に嘘を吐いて、帰ろうと体を反転させた。
止められる前に走り出したけど、すぐ後ろから足音が聞こえて、腕を掴まれる。

私を掴む大きい手は、明らかに男性のものだった。

「…大鳥、あまり、さくらを困らせないでくれない?」

久々に、私に向けられた赤葦くんの声は、残酷にも程がある。
結局、赤葦くんの感情が、恋愛だろうが、家族愛だろうが、友愛だろうが…さくらちゃんの為なら動くという、現実を突き付けられた。
/ 62ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp