第1章 救済【サンカク。‐case1‐】
あんな顔を見てしまったら、前よりもっと赤葦くんを好きになる。
だけど、彼にとって、私に割く時間は無いに等しいみたいで。
あの遊園地に行った日以降、何の連絡もなく。
こっちから連絡しても、部活だったり、休養日でも先輩方と出掛けてたりで。
友達らしく、たまに雑談したり、遊んだりする関係には程遠い状態のまま、夏休みが終わった。
同じ教室で過ごす2学期が始まる。
私から話し掛けたら反応はしてくれる。
でも、赤葦くんからは話し掛けてはくれない。
友達になりたいと申し入れた時以前の関係に、戻ってしまった気がして。
「赤葦くん、たまにはそっちから絡んできてよ。」
つい、ワガママな事を言ってしまった。
「用事もないのに、どうやって絡めばいい?」
赤葦くんの返答はこんなもので。
「友達だったら、理由もなく雑談とかしたって良くない?」
「悪いけど、それ、苦手分野。大体、大鳥と話せる話題とか無いよね。
俺、部活以外に趣味無いし、大鳥に聞かせたって楽しくないだろ?」
「楽しくなくても、赤葦くんとお喋りしたいんだけどな。」
「無理だよ。楽しくない事、進んでしてどうするの?」
「ただ、赤葦くんと時間の共有が出来れば良いもん。」
「その考え方が、俺は理解出来ない。」
話は、何故か言い合いに発展して。
「もう、いいっ!」
最後には意地になって会話を終わらせた。